極上御曹司はかりそめ妻を縛りたい~契約を破ったら即離婚~
そのあとはつつがなく式は終わり、披露宴会場へと移動する。
老舗ホテルで招待客が五百人……なんて、ちょっとよくわからない規模の披露宴で、これでも招待客を絞った方だと言われたら、これでよかったとしか思えない。

披露宴は特筆することもなく進んでいく。
しいていうならば。

「……女性客の視線が、痛いんですが」

「……澪音に妬いてるんだろ。
あとでフォローするからいまは耐えろ」

優雅に笑みを浮かべ、私たちだけにしか聞こえない声で話す。
古渡側の出席者の、多くの女性たちが、私を憎しみか見下す目で見ていた。
打ち合わせで彼とときどき出かけるようになってからは多少慣れてはいたが、それでもやはりいい気はしない。

居心地の悪い披露宴は終わり、古渡さんは私を最上級スイートルームに残し、二次会へ出ていった。
きっと、女性たちのフォローとやらに回るのだろう。

「……疲れた」

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