極上御曹司はかりそめ妻を縛りたい~契約を破ったら即離婚~
フォークを握りしめ、悶絶した。
スポンジはふわふわでシュワリと口の中で解けていく。
クリームも口当たりが軽く、それを邪魔しない。
それでいて上品な甘さで、苺の味を引き立てる。

「どうやって作ってるんだろ、これ?
小麦と玉子と、バターだけ?」

一口食べたあとはひたすら、分解して分析に没頭した。
いつもはケーキの類いは同じものをふたつ買う。
ひとつは普通に堪能し、ひとつは分解して分析、研究する。
しかしながら、三八〇〇円は無理。

「うーん、秘密が知りたい……」

私もいつか、こんなケーキが作れるようになりたい。
そのためには、この一年が勝負なのだ。

「帰ったぞ」

入浴も済ませ、優雅にテレビを見ながらスパークリングウォーターなんて飲んでいたら、古渡さんが帰ってきた。

「おかえりなさい」

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