極上御曹司はかりそめ妻を縛りたい~契約を破ったら即離婚~
ってつもりだったのに、いきなり彼が笑いだしてなにが起こっているのかわからない。

「やっぱり澪音は面白いな。
冗談、冗談だ。
そう、警戒するな」

ひとしきり笑って気が済んだのか、彼は布団に潜り込んでいった。

――ただし、私がいまいる方のベッドの。

「もう寝る。
眠るまで、なにか話をしろ」

サイドテーブルに眼鏡を置き、肘枕で彼が私を見る。
私も少しだけ、警戒を解いた。

「なにか、とは?」

「そうだな、澪音の話が聞きたい。
いままでのことを話せ」

「いままでのこと……?」

「話さないなら、また襲うぞ」

「うっ」

思わず、ベッドの隅にまた身体を寄せる。
そんな私を古渡さんはニヤニヤ笑ってみていて、ちょっとムッとした。

「そう、ですね……」

少し考えて、私の一番古い記憶を話すことにした。

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