極上御曹司はかりそめ妻を縛りたい~契約を破ったら即離婚~
一応、声をかけたものの、うん、うん、と頷くばかりで彼はゆらゆらと揺れていた。

「古渡、……さん?
おきて、……ます?」

また彼が、黙って、うん、うん、と頷く。
しかしながら顔をのぞき込んだら、まだ瞼は閉じられたままだった。

「眠いならまだ寝ていて大丈夫ですよ。
盛実さんも来ていないので」

うん、うん、と頷きながら彼が少しずつ前のめりに倒れていく。
布団に顔がついたと思ったら、すーすーと寝息を立てていた。

「えっと……」

あの体勢は非常につらそうだが、私には大きな彼を動かすなんて無理。
空調は効いているし、風邪を引くことはないだろうから、そのままにしておこう。

「……」

先に顔を洗ってしまおうと寝室を出かけたが、踵を返してベッドまで戻る。
隣の未使用のベッドからベッドカバーを苦労して剥ぎ、古渡さんにかけた。

「風邪を引いたら悪いからで、別に他意はないですからね」

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