極上御曹司はかりそめ妻を縛りたい～契約を破ったら即離婚～

言い訳のように言い、今度こそ洗面所へ向かう。
軽く身支度を調えたところで、盛実さんと園原さんが来た。

「おはようございます、奥様」

「おはようございます」

奥様と呼ばれるのは、いまだに慣れない。
一年後、この契約が終了するときまでに慣れている気もしない。

園原さんに連れられて寝室にある化粧台の前へ移動した。
彼女は毎朝、私に化粧をして髪を結ってくれる。
最初はそれくらいできると断ったが、古渡の奥様としてふさわしい装いを、と言われたのと、これが仕事だと言われれば断れない。

「今日はどのようにいたしましょうか」

毎回のように若干、鼻息が荒い園原さんに身の危険を感じていたら、少し遅れて盛実さんが寝室へ入ってきた。
その手にはコーヒーカップののったトレイが握られている。

「旦那様、起床のお時間です」