極上御曹司はかりそめ妻を縛りたい~契約を破ったら即離婚~
トレイをサイドテーブルへ置き、盛実さんが声をかけた先では、さっきと寸分違わぬ体勢で古渡さんが眠っていた。

「旦那様。
朝です、起きてください!」

ぴくりとも動かない彼に、盛実さんが再度、少し強めに声をかける。

「んー……」

今度は不満げに声を上げながら、古渡さんはむくりと起き上がった。

「おはようございます、旦那様。
コーヒーをどうぞ」

盛実さんが古渡さんへカップを差しだす。
しばらくぼーっとそれを見ていた古渡さんだが、そのうち受け取って口へ運んだ。

「もしかして古渡さんって、朝が弱いんですか」

「そうでございますね、昔から盛実に起こされないと起きられません」

手際よく、園原さんは私の髪を結っていく。
その間も古渡さんは俯いたまま、黙ってコーヒーを飲んでいた。

「……おはよう、盛実」

「おはようございます、旦那様」

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