極上御曹司はかりそめ妻を縛りたい~契約を破ったら即離婚~
「どうしても起きられないんだから仕方ない。
だから女のところには泊まったことがないからな。
なにがなんでも帰っていた」

「へ?」

そこまで、とは思うが、確かにあの寝起きの悪さを見せられたら、百年の恋も冷めるかもしれない。
そういえば〝深夜の密会〟はよく報じられていたが、〝朝帰り〟は一度もなかった。

「そんなわけで俺の寝顔を見たことある女は、母と使用人を除いて澪音だけだ。
どうだ、嬉しいだろ?」

いつのまに彼の手が私の顎を持ち上げ、視線をあわせさせる。
レンズの向こうからはドヤ顔で彼が見ているが……それに、萎えた。

「いえ、全然」

貴重なものを見た、という気持ちはある。
しかしながらそれが嬉しいかといえば、全く。

「素直じゃないな、澪音は。
しかし俺はそんなところが嫌いじゃない」

「……」

相変わらず変な人だ、と思ったところではたと気づいた。
台詞が、変わっている。
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