極上御曹司はかりそめ妻を縛りたい~契約を破ったら即離婚~
いままでは〝つれないな〟だったのだ。
それが〝素直じゃないな〟に変わった意味、とは。

「朝食の準備が調いました」

変な迷路に迷い込みそうになったところで、盛実さんから声をかけられた。
私たちが不毛なやりとりをしている間に、ダイニングテーブルの上には朝食が並んでいる。

「いただきます」

最高級ホテルの朝食ではあるけれど、古渡さんちに引っ越してから毎日食べていたメニューと変わりはなかった。
味の方も。
家では作っているのは園原さんだと言っていたので、侮れない。

「食ったら澪音のお父上に会いにいくぞ」

「へ?」

行儀が悪いとは思うが、つい変な声が出た。

「昨日、あやまりたいと言っていただろ。
なら、すぐに実行に移すべきだ」

「え、えっと」

あやまりたい気持ちはある。
しかしながらもう七年も顔をあわせておらず、しかもその後ろめたさを抱えて過ごした年月はさらに長い。
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