彼が冷たかった理由。
あれから1週間ほど、私たちは全くと言っていいほど話さなかった。

そして今日、席替えがある。

彼と離れられるチャンス、なんて思いつつも、ちょっと寂しかったりしてしまうのは、私が彼に依存していたということだ。

もう彼の中では別れているかもしれないのに。


その証拠に、彼は毎日別の女の子と帰るようになった。
...更には、毎日コロコロと変えていた。

言ってしまえば女遊びが激しい。


毎日のように見かけるあの背中に、嫉妬してしまう自分が恥ずかしくて、息苦しかった。

諸行無常、というように、彼の心も好みも、きっと変わってしまったのだろう。

あのとき勢いで別れてしまえばよかった。
もっと早く気持ちの浅いうちに別れておけば。


「席替えするぞー。
今回席どうやって決める?」

「クジがいいでーす!」

「ドッジボールで決めようぜ!」

活発なクラス。
ドッジボールなんて変な案も浮かぶ。

「とりあえず優愛と柿崎は一緒だろー?」

渉と私の名前を呼ぶ先生に、手を挙げて意見をした。

「今回は隣じゃなくていいです」

「......え?」

静かにそう渉が呟いた1文字を聞き流したことにして、くじがいいです、なんて付け足した。


「優愛が言うんだからくじにしよう!」
「そもそもドッジボールなんて意見ねぇしな!」

クラスもそう盛り上がって、みんなでくじを引いた。


「やった」

1番後ろ、窓側の、角席。
あの席はみんなのことを見渡せるので、お気に入りだった。

「優愛と隣だ」

そう言ったのは琉君。
仲良くできる人でよかった、なんて内心ほっとした。
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