彼が冷たかった理由。
「日誌書いたから出してくる」
そう立ち上がると、田中君はいいよ、と私の手から日誌をとった。
「日直は俺だし出してくるよ。
ありがとう、優愛」
そう言ってさっさと教室から出ていく。
今日も1人か、なんて思いながらカバンを背負った。
《別れようとは思わないわけ?》
わかれる、か。
完全に私が依存しきる前に、離れた方がいいのかもしれない。
でも好き。好きだ。
だからこそ一歩踏み切れない。
下駄箱に行くと、渉の姿があった。
まだ帰ってなかったんだ、なんて思う。
彼は私たちのクラスの使う下駄箱によしかかって目を瞑っている。
つかれているのだろう、そっとしておこう。
そっと靴を取って、帰ろうとした時だった。
「一緒に帰ろうって言ったのは誰」
「っ、え」
「いつもそう。
外で待ってたら、通り過ぎて帰る」
冷たくて、低い声。
まるでコンクリートみたいなひんやりした声。
「下駄箱にいても、僕のこと、気づかないの」
「わた、る...?」
「さっき田中から聞いたけど、お前、日誌書くの手伝ったらしいね」
じっと見下ろす彼の目は、人を殺せそうなくらい怖いものだった。
「帰ろうって、言ったくせに...!」
私を睨んで、彼は先に出ていってしまう。
追いかけるどころか、拍子抜けして、歩くことすら私は時間がかかった。
なんなの。いっつも、冷たいのに。
そう立ち上がると、田中君はいいよ、と私の手から日誌をとった。
「日直は俺だし出してくるよ。
ありがとう、優愛」
そう言ってさっさと教室から出ていく。
今日も1人か、なんて思いながらカバンを背負った。
《別れようとは思わないわけ?》
わかれる、か。
完全に私が依存しきる前に、離れた方がいいのかもしれない。
でも好き。好きだ。
だからこそ一歩踏み切れない。
下駄箱に行くと、渉の姿があった。
まだ帰ってなかったんだ、なんて思う。
彼は私たちのクラスの使う下駄箱によしかかって目を瞑っている。
つかれているのだろう、そっとしておこう。
そっと靴を取って、帰ろうとした時だった。
「一緒に帰ろうって言ったのは誰」
「っ、え」
「いつもそう。
外で待ってたら、通り過ぎて帰る」
冷たくて、低い声。
まるでコンクリートみたいなひんやりした声。
「下駄箱にいても、僕のこと、気づかないの」
「わた、る...?」
「さっき田中から聞いたけど、お前、日誌書くの手伝ったらしいね」
じっと見下ろす彼の目は、人を殺せそうなくらい怖いものだった。
「帰ろうって、言ったくせに...!」
私を睨んで、彼は先に出ていってしまう。
追いかけるどころか、拍子抜けして、歩くことすら私は時間がかかった。
なんなの。いっつも、冷たいのに。