好きになった先生は猫かぶりで腹黒な先輩だった
ミナト先輩と同い年だったら私もあんな感じだったのかな。



「ちょっと!グロス塗りなおしたばっか!!」



「カナデの前で余計なと言うからだろ。」



「はーん、デート邪魔したから怒ってんの?」



『へ?』



「ハロー、たまに駅で会う1年ちゃん。」



「はぁ」



ミナト先輩があきれたように深いため息をついた。
私をフォローする気はないみたいだ。



『お疲れ様です。』



ここはとりあえず挨拶を。
ほかの大学はどうか知らないけど私の大学は顔見知りの先輩とすれ違う時に「お疲れ様です」って挨拶をする。



「おつかれ。
私、3年バイオリン専攻の藤枝 花音(ふじえだ かのん)。」



カノン先輩、かわいい名前。



『短大1年の水書 奏(みずがき みなと)です、クラリネット専攻です。』



「ミナト?こいつと同じじゃん。
つかさっきカナデって言ってなかった?」
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