好きになった先生は猫かぶりで腹黒な先輩だった
最近は毎日朝も昼も、夜も21時まで伴奏合わせ。
確実に受験の時よりも吹いてる。



『最近、友達に上手になったって言われるようになりました。』



「そ。」



自分の試験曲だろう曲を軽く奏でながら、横目で私を見てくれた。



『クラリネット専攻って私含めて5人いるんですよ。
私以外、みんな特待生ですごく上手くて・・・』



私も特待生の受験を受けたけどだめだった。
クラリネット専門の子の中には普通科高校の子もいた。
私は音楽科なのに特待生とれなくて、普通科の子が特待生。



『悔しいとか思って練習しないとってなるのが普通なのに』



私は




『まぁそんなにクラリネット好きじゃないし、って開き直っちゃったんですよ。
練習もそこそこ。レッスンもまぁ普通にできるくらいでいいや、って。』



心の中では恥ずかしくて、情けなくて。
友達には強がった感じで『私は特待生受けなかったから』って嘘ついた。
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