好きになった先生は猫かぶりで腹黒な先輩だった

気になっていたこと

気になることがある。



あの場では聞けなかったこと、聞きづらかったことがある。
いや、あの場だけじゃない。正確にはカノン先輩と出会った時から。



「さっき練習室にいたの見たけど大丈夫なの?あんたっ」
カノン先輩の口をふさいで先を言わせなかった言葉。



「もう心配したんだから、大丈夫なの?」
昨日会った先生の言葉。強引に会話を終わらせたように見えた。



ミナト先輩を気遣う言葉と、私に知られたくない風に行動をするミナト先輩。



『気になる・・・』



放課後の練習、少し休憩をと12階のテラス席でまったりしながらそんなことを考えた。
いつもは放課後でもにぎわってるけど今日は静か。
試験だからかな、ここは3年の先輩が主に集ってる場所だし。



気になるけど本人に聞く勇気なんてないし、ほかの誰かに聞くのも気が引ける。



でもやっぱり



『気になるー』



はぁあと息を吐いて机におでこをくっつける。
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