好きになった先生は猫かぶりで腹黒な先輩だった
「もしもし、あんたの可愛い後輩が泣いてるわ。
今すぐ12階来なさい。私はこの後レッスンだから1人にしちゃうわ。」



用件だけ言って素早くスマホを切った。



『あの泣いてないんですけど。』



「ふふ、そう言ったほうがアイツ慌ててくるでしょう?」



電話の相手がミナト先輩なのは分かるけど。



「ま、レッスンってのも嘘だけど。」



シシッと楽しそうに笑うカノン先輩。



「気になること、今聞いちゃっとこと聞いてやって。
アイツは自分から言う気ないみたいだから。」



「そんじゃ」ってバイオリンを背負いなおしてカノン先輩は行ってしまった。



カノン先輩はああ言ったけど本当にいいのかな。
だってミナト先輩は私に知られたくなかった話なんでしょう?



あぁ!もう!!また分かんなくなってきた。
また私は机に頭をのっけて頭の中をぐるぐるさせた。



「カナデ!」



いつでも私を落ち着かせてくれる心地の良いミナト先輩の声。
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