好きになった先生は猫かぶりで腹黒な先輩だった
「どうして」



少しだけ目を見開いたミナト先輩に本当なんだって実感した。




『3年の先輩がはなしてるの聞いちゃって。』





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「湊だよ。
あいつ耳聞こえてなかったのに。」



「あ~。
え。でも、もう平気なんでしょ?」



「いやいや、まだ左耳は聞こえてないんだよ。」




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『全部本当ですか。』



耳が聞こえてない時期があって、今もまだ完全に聞こえてないっていうのは。



「半年前、実習のあとすぐ聞こえなくなった。
原因は分からない。
もちろん休学。」



『・・・』



「新学期前に右耳だけ聞こえるようになって復学。
当然進級試験パスしたけど先生たちのご意向で3年にはなれたけどね。」



一応主席だしって力なく笑った先輩は左耳に手を当てた。



「ごめん。そんな奴が伴奏者で。
偉そうなこと言って。」
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