好きになった先生は猫かぶりで腹黒な先輩だった
私はフルフルと首を振った。



『私はミナト先輩が伴奏してくれて良かったって思ってる。
叱ってくれて目指すところを教えてくれて感謝してます。』



「片耳聞こえてなくて合わせるとかさ、そんなんリスクあるよ。
練習室(ここ)できっちり合わせられても、音が響くホールじゃどうなるか分からない。
今日はしなかったけど音酔いだってするかもしれない。」



『・・・なに』



「片耳でも伴奏できんのかなって興味半分でカナデの伴奏受けた。
しかも頼まれてもないのに強引に。俺は卑怯だ。
それでいてこのこと説明もせずに・・・今日これがなかったらずっと言わないつもりだった。
俺は、利用しようとしたんだよ?他人の試験で実験しようとしてるんだ。」



私の言葉をさえぎっていつもより早口でしゃべる先輩。



『なに甘いこと言ってんの?んなこと言ってないで私のために伴奏して!』



『ミナト先輩が目指しているものは何?』
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