好きになった先生は猫かぶりで腹黒な先輩だった

「カナデってすぐ思ってること顔に出て面白いよな、高校の時からずっと思ってた。
久しぶりに悲しんでる顔が見たくなってイジワル言った、ごめんなー。」



『は？』



「すんげーどうでもいいことでもすぐ悲しそうな顔してたから、高校の時。
それが見たくて、つい。」



『ちょ、悲しんでる顔が見たくなったって腹黒か！
ひどい、酷いですよミナト先輩。』



「えー？だからごめんって。
お詫びにあと１時間練習して帰ろう。」



にやりと笑って前奏を奏でる。
それはとても煌びやかで一気に音楽に呑まれていく。



ってそうじゃない！！



『もう吹けないって！ほんと腹黒！！』



涙目で睨みながら反論する私の声とそんな私を見て腹を抱えるほど笑うミナト先輩の笑い声はきっと廊下にまで聞こえていただろう。