大正蜜恋政略結婚【元号旦那様シリーズ大正編】

高山さんがしきりに感心している。


返却？　
それではあの詐欺まがいの行為を認めさせてくれたの？


「うん。それに手抜き工事も発覚して、うちの工場を作った建築会社に変更するんだってさ。三谷も見る目ないよね」


手抜き工事？

次から次へと明るみになる事実に呆然として手が止まった。


父の目はどれだけザルだったのだろう。
敏正さんに出会えなければ、やはり私が吉原に身を落とすくらいでは済まなかったかもしれない。


「でも、そんなに滅茶苦茶な会社をなんでうちが立て直すんでしょうね。旨味あるのかな」

「どうだろうね。でも敏正さんがやることだから、勝算があるんじゃないの？　あの人、学生時代から幹部も頭が上がらないほどすごかったし」


高山さんの疑問に橋田さんが答える。


それを聞き、緊張が走った。

学生時代から努力して認められてきた敏正さんの能力を三谷商店のせいで否定されるのは困る。