Dear boy,Dear girl~ワケあり男子と秘密の同居生活~
次の日の朝起きると、その男はいなかったけど、母親は何も言わずに俺にいつもどおりそのへんで買ってきたパンやごはんを与え、自分は昼間からどこかへ出かけて行った。

そこからだ、俺がバスケに打ち込むようになったのは…

バスケはアメリカではふつうにストリートで行われているから小さいころから慣れ親しんではいたけど、本格的にチームにも所属してやりはじめた。

俺がそういう現場を見てからは母親は隠すことさえしなくなり、俺は何度もそういう現場を目撃するようになった。

最初は吐いたりしてた俺も、見て見ぬふりをすることを覚えて、何も感じなくなった。

けど今思えば、何も感じなくなったんじゃなくて、何も感じないように自分に銘じてただけで、自分の心の奥は傷だらけだったんだと思う。

そのあと俺が5年になったときに父さんが日本に戻ると同時に両親は離婚した。

母親は俺の心の奥に深い傷を残して、若い男と笑いながら俺の前を去っていった。

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