囚われのお姫様
第2話
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『あっという間だったわね……』
『ええ、子供の成長ははやいわね』
頬にあたる風はまだ少し冷たいなって感じるけど、ちょっと前よりは暖かくなったかな。
ピンク色のお花が木にたくさんある。
先生が言ってた、これ”桜”っていうんだって。
『お花きれいだね!美波ちゃん』
今日は幼稚園の卒園式。
ママたちがいつもよりしっかりおめかしして、お化粧もしっかりしてるのになぜか泣いている。
そんなママたちと桜を見比べていたら、隣からそう話しかけられた。
『お花、じゃなくて桜だよ!』
ふりかえり、そう言った。
私と同じくらいの背丈の男の子がいた。
初めてお話する子だ……。
同じクラスには、いたと思うけど。
『美波ちゃんは、ものしりなんだね』
『ちがうよ、先生言ってたじゃん。先生のお話はちゃんと聞かないとダメなんだよ』
腰に手を当て、えっへんとえらそうにしてみる。
私もよく先生のお話聞かないで怒られたりしてるから、人のこと言えないんだけどね。
『ぼくね、今日美波ちゃんにお話があるんだ』