囚われのお姫様
「これ、好きだったよね」

「……!」


確かに、子供の頃大好きだった。

よく周りの子のお弁当から勝手にとって、先生に怒られてたなー。


「……え」

「食べないの?」


目の前には可愛い形のたこさんウィンナー。

彼は突然、たこさんウィンナーをもった箸を私の口の前に持ってきた。


「はい、あーん」

「?!」


なんで知ってるんですかって聞こうとして口を開けたら、間髪いれずにウインナーが入ってきた。

もぐもぐと食べていると、彼はどこか緊張してるようにこちらを見てきた。

どうしたんだろう。

そこには出会った時のかっこいい王子様みたいな彼はいなくて、体に力が入ってただただ緊張が伝わってくる。


「……おいしい」

「よかった」


でもそんな彼の緊張はそう言うとすぐに解けたようで、彼は安心したように微笑んだ。


「あの……名前を聞いてもいいですか?」

「……え」


なんでそんなびっくりした顔するんだろ……。

だってこないだ知り合ったばかりだよね??


「……入谷 誠(いりや まこと)」

「入谷くん?」


入谷 誠……どこかできいたことがあるような。
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