囚われのお姫様
ギャーギャーいいながらも御手洗の方へ。

昼休みってこともあって廊下はとても賑やか。

私と大悟の少し声の大きい言い合いもあまり気にならないくらいだ。

御手洗をすまし女子トイレの外に出ると大悟が待っていた。

さすがに女子トイレまでには入ってこなかった。よかった。

でも大悟は、私の方ではなく廊下の窓の外をじーっと、真剣に見ていた。

まあ私のこと見られても困るんだけど。


「おーいそこのあほ面大悟〜、もう授業始まるから行くよ〜」

「……」


ダメだこりゃ。

全く微動打にしないし多分聞こえてないんだろうな。

何見てるのかな、てちょっと気になって私も窓の外を見てみる。

もう昼休みも終わりの時間。

外に何人か人はいたがみんな校舎内に向かってる。

なんの変哲もないいつもの風景だけど、一体なにが大悟を夢中にさせてるんだろうか。

こうなったら意地!

私だって見つけてやる!!

しばらく窓の外を観察してると、1人の女子だけは校舎内に向かっていないのを見つける。


「……てあの子!! 舞姫じゃん!!」

「……!」
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