囚われのお姫様
私がそう叫ぶと、外にいる舞姫さんが私の声に気づいたのかこちらに目線を向けた。

そして大悟もびっくりしたようにこっちを見てきた。

外の舞姫さんと目が合ってしまいなんともきまずい……。

とりあえず会釈しておこ。

舞姫さんもそれに返してくれた。

優しい人なんだろうな。美人さんだし。


「もう授業始まるから行こう?」

「お、おう!」


ほんとは置いてってやろうかと思ったけどそれは流石に可哀想だと私の中の天使が言ってたから声掛けたんですよ。

私の中の天使に感謝なさい!!


──ガチャ


大悟とそんなことを話してると、非常階段の扉が突然空いた。


「うわ!」

「……!誠くん!!」


扉の向こうから私の運命の王子様、誠くんが現れた!


「…………美波ちゃんから離れろ」


どうやら誠くん、いま超不機嫌みたい。

誠くん基本いつも優しくしっとりと話す感じなんだけど、怒ると芯の通ったような話し方するんだね。

でも、どうして怒ってるんだろう。

こんなに怒った彼、見た事……。

あれ、あった、気がする。

なんか既視感がある。


「あれー、あなたが噂の”運命の人”っすか?」
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