囚われのお姫様
「え、夏休みなし?!」


次の日のHR。

担任の先生から放たれた言葉は私を不幸のどん底に突き落とした。


「この頃学園内で不審者を見かけるようになった。セキュリティの観点から今年は各自の帰省は禁止となった」


そういつもの連絡事項のように淡々と説明する担任。

そして他の連絡も済ませHRが終わった。


「ねえねえひどくない?!夏休みなしとか、ありえないでしょ!!」

「そう?」

「高校生最初の夏だよ?青春の1ページだよ?!」


だというのにユキという人は!!

「そう?」だなんて随分覚めた反応!!

あーもうこんな学校出ていきたい!!


「高校生最初っていってもねえ…去年と対して変わらないでしょ?」

「うっ……確かに……」


確かに……周りのメンツも変わらないし、帰省して焼肉食べてぐーたらして……。

って、私の青春ってなんなんだ!!


「まあ、帰省はできないけど授業はないんだし楽しめるでしょ」

「でもぉ……誠くんと約束だってしてたのに……」

「その誠くんとやらのせいで夏休みがなくなったようなものだけどね」

「むう、誠くんは不審者なんかじゃないのに!」


はいはい、なんて言って私の頭を撫でてくれるユキ。
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