囚われのお姫様
私より少しだけ背の高いユキが、私を庇うように抱きしめてきた。

顔は見えないけど……震えてる。

何事にも冷静で、取り乱すことのないユキが……。

こんなに震えながら、守ってくれるなんて。


「……!」


私からも、ユキを抱きしめた。

次にくる衝撃を覚悟しながら私たちはお互いを庇うように抱きしめあった。

が、いつまで経ってもトラックは突っ込んでこなかった。

どういうこと?

ゆっくりと顔を上げる、私とユキ。


「……会長!」


ユキから最近忙しそうにしていると聞いた、生徒会長の銀座先輩がいた。

氷のナイフのようなものが、トラックのタイヤを突き刺している。

生徒会長さんが、助けてくれた……?

会長さんはびっくりしたような顔をして私たちを見ていた。


「三ノ輪が……そんなことするなんてな」

「……」

「えーっと、君」

「はい!」


会長さんは私に目を合わせてそういったから多分私のことだと思う。


「名前は?」

「ひ、東校1年C組の広尾 美波です!」

「広尾、俺と三ノ輪はまだやることがある。先に寮に帰ってなさい」
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