囚われのお姫様
多香音さん、なんとも言えない複雑な顔してる。

でも引いてるって感じじゃ、なさそうかな……?

どちらかというと、なんだか悲しそうな感じ。

そんなこと思ってると……。


パリーン!!


突然、部屋の窓が割れた。


「危ない!!」


大悟が慌てて空気玉をたくさん投げガラスの破片を避けてくれた。

ガラスを割ったのは。


「誠くん!!」

「やあ、美波ちゃん」


いつものように微笑みかけてくれる誠くん。

でもすぐに、大悟たちに目を向ける。

前に見たとても不機嫌な顔よりも、もっと怖い顔で。


「ほら、みなっちゃんわかったっしょ?! 盗聴器を仕掛けたのはやっぱこの男だったんだよ!」

「ねえ」

「……!」


誠くんは、さっき窓ガラスを割ったであろうハンマーを大悟に向かって振り上げた!


「美波ちゃんは、ボクのお嫁さんなんだよ。勝手に連れ出さないでもらえる?」

「やめて!!」


そのままハンマーで大悟を叩こうとした誠くんは、私の言葉に一瞬ピタリと動きをとめた。

それとほぼ同時に、どこから出たのか大量の水が誠くんをつつみハンマーと誠くんが離された。
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