囚われのお姫様
「なので、先程の広尾さんの言葉で彼が綾瀬くんだと確信したんです」



「僕と綾瀬くんは……僕の弱虫な性格のせいで死んだも同然でした。僕がもっと早く綾瀬くんに話しかけていれば……僕がもっと早く動いていれば……死んだ後生まれ変わってもずっとそんな後悔ばかりです。なので、今世ではそんな後悔はもうしたくないと、弱虫な自分を克服しようと決めました」

「高志のせいじゃねぇよ……」

「大悟?」

「……あれ、俺今なんて……」


大悟は自分がどうしてそう言ったのかわかっていない様子。

多香音さんの確信通り、大悟は綾瀬くんという人の生まれ変わりなんだ。


「綾瀬くん……」

「俺っちは、綾羅木っすよ」


涙を流しながらも、2人は笑いあっていた。

大悟は結局前世の記憶は思い出せないままみたいだけど。


「それで、僕は広尾さんと……えと、誠さん?を放っておけないんです。特に誠さんは……綾羅木くんとは違いますがどこか綾瀬くんに似ていて」

「……ボクのなにがわかるの」


さっきまでずっと黙って聞いていた誠くんが口を開く。


「誠さんは……その、広尾さんのことを大切に思っているんですよね」
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