囚われのお姫様
そんな不安げなしぐさをする誠くんはどこか既視感があって、やっぱり小さい頃会ったことあるんだなって思い知らされる。


「ごめん、ボクもっと美波ちゃんにふさわしい男に……」

「そのままでいいんだよ」

「……!」

「誠くんは誠くんじゃん。最初はまあ王子様みたいでかっこいい誠くんにひかれたけど、今はちょっと自信の無い誠くんだって好きだよ……ってまって私何言ってるんだろ! まって今の忘れて!! もっとこう、こういうのはねオシャレしていい雰囲気のとこで……」


うん、せめてメイクしとけばよかった。

制服……はまあ私JKだしいっか。

もっとこう、グロスとかつけて色気をね。


「ぷっ!」

「ちょっとなによこの元ストーカー!」


突然、失礼極まりない大悟が吹き出した。


「いやだってさ、2人とも似てるなーって」

「ええ、言ってることがとても似ています」


大悟だけじゃなくて多香音さんにまでいわれちゃった。


「へへ、似てるって!」


誠くんにそういい笑いかけてみる。

誠くんも、少しだけど微笑んでくれた。
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