囚われのお姫様
私はその超絶イケメンの方を見たまましばらく動くことが出来なかった。

せめて、名前だけでも聞いとけばよかったな。


──キーンコーンカーンコーン


「……あ!!!!」


遅刻!!

すっかり忘れてた!!!!

この後ダッシュで学校に向かったが案の定先生にこっ酷く叱られてしまった。



「……てことがあったの!! 確実に運命の王子様だよね?!」

「それ不審者じゃん」

「運命の不審者?!」


体育の準備体操の途中、今朝のことをユキに話すと、冷たくピシャリとそう吐き捨てられてしまった。


「だって『久しぶり』だよ?『迎えに行く』だよ?!?!」

「はぁ…それ新手のナンパでしょ。だって美波、その人のこと知らないんでしょ?」

「え…まあ」

「じゃあもう不審者確定」

「もう!少しは夢見させてよ〜!」

「だいたいあんたの夢がほんとになっても……捕まるだけよ?」

「……」


そう、うちの学園から逃げ出そうものならたちまち逮捕され刑務所に入れられ、一生出られない……なんて怖い噂がある。
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