五年越しの、君にキス。


カフェオープンのためのイベントで、勝手なことして大丈夫……?また、誰かに頭を下げることにならないだろうか。

不安な面持ちで見つめる私に、伊祥が余裕げに微笑んでみせる。


「私、美藤 伊祥は、どんなときもあなたのことを一番に考え、あなたのことだけを見つめ、誰よりも大切にすることを約束します。この先にどんな悲しいことや困難なことがあっても、あなたのことを不安にさせないように努力します。何が起きても、あなたの手だけは絶対に離しません。あなたがずっとそばで笑っていてくれるように、いつもあなたの一番の味方であり、永遠に愛することを誓います」


こんな言葉、いつ考えていたんだろう。

私を真っ直ぐに見つめて、曇りのない声でひとつひとつはっきりと語られる誓いの言葉に、胸が熱くなる。

立会人として周囲にいる人たちは、決して私たちに好意的な人ばかりではないはずなのに。

周りの目も言葉も何も気にならないくらい、伊祥のことしか見えなかったし、彼の言葉しか聞こえなかった。

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