五年越しの、君にキス。
伊祥が誓ってくれた言葉に目頭を熱くしていると、彼がジャケットの内ポケットから小さなジュエリーケースを取り出して私のほうに向けて開いた。
有名ブランドの名前が入ったケースに入っていたのはインフィニティーの形を描いたチャームのついたペンダント。
何度も目を瞬かせてから伊祥の顔を見上げた私に、彼がケースから取り出したペンダントをつけてくれた。
「永遠を表すんだって」
マイクを通さずにこそっとささやいた伊祥が、私の胸元に手を伸ばして、そこで輝く、永遠を表すというインフィニティーのチャームに触れて指先で弾く。
「永遠……」
伊祥のくれた誓いの言葉と重なるその意味に、熱くなりすぎた瞼から涙が溢れた。
頬に降ってきた伊祥の唇が、流れた涙を拭いとる。
「これでもう、永遠に離れられないね」
テラスに吹き込んできた柔らかな風が、私を見つめて微笑む伊祥の前髪を悪戯に揺らす。
気付けば、見つめ合う私たちはお客様全員からの拍手の音に包まれていて。いつまでも、鳴り止みそうになかった。
《完・五年越しの、君にキス》