五年越しの、君にキス。
「だったら、あなたは何のためについてきたの?暇なんですか?」
「いや、全然。どちらかというと、すごく忙しい」
呆れ顔の私に向かって堂々とそう答えた伊祥だけれど。見ている限り、彼が忙しいとは思えない。
「じゃぁ、どうして打ち合わせについてきたのよ」
「んー。打ち合わせついでに、俺の奥さんをランチにでも誘おうかと思って」
「まだ奥さんじゃないから」
「あー、そっか。じゃぁ、婚約者をランチにでも誘おうかなって」
ふざけた口調で誘いかけてくる伊祥に顔をしかめて反論すると、彼がクスリと笑って言葉を変えた。