五年越しの、君にキス。



不意に、ぎゅっと強く締め付けられるような息苦しさを感じた。

目を開けると、それは伊祥が私の首に腕を回して頭を掻き抱くように引き寄せられていたからで。

「ちょ、苦しい」

「あー、ごめん。なんか、あったかくて」

もがきながら訴えると、まだ半分寝ぼけている伊祥が目を擦りながら私に絡めていた腕を解いた。

「朝まで隣にいてくれたんだ?」

私のほうを向いて横向けに寝転ぶ伊祥は、昨夜よりも随分顔色がいい。

嬉しそうな顔の伊祥に笑いかけられた私は、恥ずかしくなって鼻の辺りまで布団に潜って顔を隠した。

「いてくれたっていうか……伊祥がずっと寒がって離れないから」

「ありがとう。梨良がいて、すごくあったかかった」

伊祥がそう言って唇で綺麗な弧を描くようにして微笑むから、頭まですっぽり布団の中に沈んで顔を隠したくなる。

本気で布団の中に隠れようとしたら、引っ張るようにして伊祥の胸に抱き寄せられた。
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