星空の下
話をつけたと言うと、少女は唖然と言った感じで、口を開いて固まっていた。

最初は信じられなかったようだが、ヤンキー逹の前を通っても何もされないことで信じたらしい。

たったこれだけのことなのに、少女は私を信頼したようだ。
まだ名前も知らないのに無用心だと思う。その純粋さがヤンキー逹の惹かれるものでもあるのだろう。

恐怖から解放された少女は、水を得た魚のように活発化した。私を自分の家まで連れて来た。

また誰かに絡まれないか心配もあり、私は大人しく付いて来た。

「お邪魔します」

中まで入るつもりは無かったが、気付けばソファーに座っている。

表札には熊谷と書かれていた。真新しい家は最近建てられたものだろう。

「まだ名前を聞いていないんだけど…」

名前くらいは聞いても良いだろう。
お茶を煎れてくれていた手が止まる。
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