星空の下
「…やだ!忘れてた!」

本当に忘れていたと分かるくらい慌てている。
先に名乗るか。

「私は市原楓、高1」

「市原さんかぁ」

「楓でいい」

「楓ちゃんかぁ…可愛いね」

小首を傾げて笑う少女の方が可愛らしい。

「私は熊谷亜美、亜美って呼んでね。同じく高校1年」

くまがやあみ、ね。了解。


「亜美は引っ越して来たの?」

「うん!よく分かったね!」
すごーいと本当に感心しているが、少し考えれば分かることだ。

「高校に入る時に越してきたの。パパが転勤を機にマイホームを買いたいって言い出して…、ママの広い庭が欲しいっていう希望とか取り込むとここになったの。他県から来たから、ここが不良の多い町だとは知らなかった…」

表情が曇る。
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