隣のホストくん
引っ越す前に環境なんて簡単なことしかわからない。

自分の選択を恨むしかない。

「人の家のドアを力いっぱい叩くなんて近所迷惑」

一番迷惑なホストくんに言われたくない言葉を言いながら玄関のドアを開けた。

言いたいことがありすぎて。

喉で言葉が詰まって口がパクパクとしか動かない。

「なっ…失礼な!!大体、あなたが壁越しに変なことをしているからでしょう?」
「壁越しなんてしてない」

「じゃあ、さっきの声は?」

確かにこの部屋から聞こえたはず。

「壁にくっついていた」

あまりのバカさに目を覆ってしまった。

「…だから売れないんでしょ?」

思わず口から出てしまった。

出てしまったものは仕方がない。
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