隣のホストくん
人は好きでしょって言われ続けると、そうかもしれないと錯覚してしまう生き物なのだ。
「俺の事が好きでしょ?」
そう返してきたか。
「嫌いではないけど…」
嫌いと言わないのがポイント
けど…って含みを持たせたら完璧。
嫌いじゃないから好きなんだって勘違いしてくれる。
だから聞かれたらいいように答えられるためのいい返事なのだ。
優しく答えながらも指は玄関を差している。
「雪菜ってさ…」
いきなり名前を呼び捨てして距離を縮める作戦か?
そんなの乗らないもん。
スッと立ち上がると朝食の後片付けを黙々と始めた。
「オレの事を怖がっているでしょ?」
「何言ってるの!?」
耳を疑う言葉に目を丸くしながら振り返った。