隣のホストくん
アラフォーになるとつい…オバサンという言葉に敏感になってしまう。

「メガネ外して美人はマンガの世界だけだし。立派なアラフォーじゃん?」

クスッと笑った。

コイツ本物のダメホストだ。

イラッとさせる能力だけはホスト界のNo.1だ。

「だったら、さっさと帰って営業してください」

冷たく言い放って玄関を指差しながら振り向いた瞬間。

「顔だけはドストライクなんだけどね」

そう言いながらマジマジと顔をのぞき込んだ。

突然の出来事で、呼吸さえ出来ないくらい顔が近すぎる。

まつ毛が驚くくらい長いのが分かるくらい近すぎるから。

驚いただけなのに。

ドキン
ドキン

なんて心拍数が上がって。

体中が熱くなっていく。

何て言い返していいかさえ、頭が真っ白になって言葉が浮かばない。

「このまま何かされると思ってる?」

耳元でイジワルくささやいた。

その言葉より

耳元にかかった甘い呼吸を振り払いたくて

「あっ…あるわけないでしょ!?」

思わず大きな声を出してしまった。
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