ハナビシソウ
ピコン…その音で不意に目が覚める…
非常識な奴がなんの用だと思い携帯に目をやると、ニュースアプリからの通知だった。…大雪注意報…
何とも期待していたものと違う。いつもの事だ。冷たい空気を肺いっぱいに吸い込み、背伸びをする。カーテンの隙間からの木漏れ日と霜。また一日が始まる。人間はプレッシャーには勝てないのだろうか。起きて1番に気だるさが襲ってきたのにも関わらずそれを忘れさせるかのごとく、今日一日の出勤から退社までの流れが走馬灯のごとく頭の中を過ぎる。憂鬱だ。もう世界の人間全員いなくなればいいんじゃないか…そんな事を考えながら、温かい布団から起き上がり台所へ向かう。
「寒すぎるだろ…」
薄暗く、物音のしないなか冷蔵庫をあけ作り置きをしていた野菜炒めと、冷たく重く固まったおにぎりを取り出し、面倒臭いので一緒にレンジの中へ入れた。温まる間に、テレビをつけニュースを見る。
「連日大雪が続きますねー!結晶が大きく水を多く含んでいるようですが、雪寄せが大変そうですねー!」
秋田美人とはよく言ったものだ…と思いながらカーテンを開け外を見る。
ボロアパートの周りは管理人が明朝から雪寄席をしてくれていてとでも、綺麗だった。
「ありがとうございます」と、1人で呟く。
(チン!!!)
レンジを開けると、お腹を鳴らすような匂いと、白い煙が立ち込めた。慌てて、皿を触れると、それは手が悴んでいたせいもあり、取れるほどになく熱かった。1度諦め、洗面台へ向かい、歯を磨き顔を洗う。鏡を見ると、疲れきった自分が心配そうに自分を見ていた。僕が鏡の自分に笑顔で
「頑張れ!!ラスト一日でやすみだ!」
と言うと、鏡の僕は少し疲れが取れたような顔をした。酷すぎる寝癖を水で濡らし、ドライヤーとヘアアイロン、ワックスで髪を整える。
「楽だし、パーマかけようかな」
と、心の声を口にした。身支度をして、30分ほどでやっと朝ごはんを口にしたが、ご飯は冷めきっていてとても美味しいと言えるものではなかった。もし君が僕のためにご飯を作っていてくれていたらなと台所に自然と目がいく。君の街に白い雪が降った時…いや…これ以上君を思うのはやめよう。これ以上君のことを考えたってと思った時には、もう行く時間だった…
「よし!忘れ物…よし!ない!!はず…」
そう玄関に向かいながら慌ただしく仕事へ向かった。
冬は寒い。コートを着ていようが容赦なく冬の風は吹き付ける。特に顔に当たる風は針で刺されているような感覚だ。僕もそれに負けずに、前へ進むが、やはり痛いのでマフラーを口元までもってきた。通勤中は毎日のようにONE okay rock の曲聞いていた。中学生の時からずっと好きだった。この曲を聴くと、今悩んでいることも昔から引きづってきたことも、憂鬱な現状から一瞬だけ忘れさせてくれ、元気をくれる。僕が薬物中毒者だと例えるなら、まさに薬物だ。この人たちの曲がなければ僕の今はなかっただろうな。
薬の効果も薄れ、職場も近づいてきた。今日の気分で最後の曲を決める。ポケットから手を出し、曲を次の曲へ、変えたらすぐさまポケットに手を入れる。これでいいやと思い流した曲は、雪が綺麗に降った日に教えてもらった、少し切なく片思いをしている、何とも冬にピッタリの曲だった。
その曲を聴き終わる前に会社に着いた。いつ見ても、どこから見ても古い。君の悪ささえ感じる。入口で肩や足に積もった雪を振り落とし 、重いドアを引く。『なんだよ。もー。』雪が下につっかえ途中までしか開かなかった。
非常識な奴がなんの用だと思い携帯に目をやると、ニュースアプリからの通知だった。…大雪注意報…
何とも期待していたものと違う。いつもの事だ。冷たい空気を肺いっぱいに吸い込み、背伸びをする。カーテンの隙間からの木漏れ日と霜。また一日が始まる。人間はプレッシャーには勝てないのだろうか。起きて1番に気だるさが襲ってきたのにも関わらずそれを忘れさせるかのごとく、今日一日の出勤から退社までの流れが走馬灯のごとく頭の中を過ぎる。憂鬱だ。もう世界の人間全員いなくなればいいんじゃないか…そんな事を考えながら、温かい布団から起き上がり台所へ向かう。
「寒すぎるだろ…」
薄暗く、物音のしないなか冷蔵庫をあけ作り置きをしていた野菜炒めと、冷たく重く固まったおにぎりを取り出し、面倒臭いので一緒にレンジの中へ入れた。温まる間に、テレビをつけニュースを見る。
「連日大雪が続きますねー!結晶が大きく水を多く含んでいるようですが、雪寄せが大変そうですねー!」
秋田美人とはよく言ったものだ…と思いながらカーテンを開け外を見る。
ボロアパートの周りは管理人が明朝から雪寄席をしてくれていてとでも、綺麗だった。
「ありがとうございます」と、1人で呟く。
(チン!!!)
レンジを開けると、お腹を鳴らすような匂いと、白い煙が立ち込めた。慌てて、皿を触れると、それは手が悴んでいたせいもあり、取れるほどになく熱かった。1度諦め、洗面台へ向かい、歯を磨き顔を洗う。鏡を見ると、疲れきった自分が心配そうに自分を見ていた。僕が鏡の自分に笑顔で
「頑張れ!!ラスト一日でやすみだ!」
と言うと、鏡の僕は少し疲れが取れたような顔をした。酷すぎる寝癖を水で濡らし、ドライヤーとヘアアイロン、ワックスで髪を整える。
「楽だし、パーマかけようかな」
と、心の声を口にした。身支度をして、30分ほどでやっと朝ごはんを口にしたが、ご飯は冷めきっていてとても美味しいと言えるものではなかった。もし君が僕のためにご飯を作っていてくれていたらなと台所に自然と目がいく。君の街に白い雪が降った時…いや…これ以上君を思うのはやめよう。これ以上君のことを考えたってと思った時には、もう行く時間だった…
「よし!忘れ物…よし!ない!!はず…」
そう玄関に向かいながら慌ただしく仕事へ向かった。
冬は寒い。コートを着ていようが容赦なく冬の風は吹き付ける。特に顔に当たる風は針で刺されているような感覚だ。僕もそれに負けずに、前へ進むが、やはり痛いのでマフラーを口元までもってきた。通勤中は毎日のようにONE okay rock の曲聞いていた。中学生の時からずっと好きだった。この曲を聴くと、今悩んでいることも昔から引きづってきたことも、憂鬱な現状から一瞬だけ忘れさせてくれ、元気をくれる。僕が薬物中毒者だと例えるなら、まさに薬物だ。この人たちの曲がなければ僕の今はなかっただろうな。
薬の効果も薄れ、職場も近づいてきた。今日の気分で最後の曲を決める。ポケットから手を出し、曲を次の曲へ、変えたらすぐさまポケットに手を入れる。これでいいやと思い流した曲は、雪が綺麗に降った日に教えてもらった、少し切なく片思いをしている、何とも冬にピッタリの曲だった。
その曲を聴き終わる前に会社に着いた。いつ見ても、どこから見ても古い。君の悪ささえ感じる。入口で肩や足に積もった雪を振り落とし 、重いドアを引く。『なんだよ。もー。』雪が下につっかえ途中までしか開かなかった。