ワンルーム・ビターキス
「はぁ…」




翠の車の助手席は私の特等席なんて自惚れてたのに。


助手席から見る翠のかっこいい顔を独り占めできてるなんて思っていた私がバカだったのかもしれない。





何も知らずに勝手に好きになった私が悪いのに。




翠から直接女の人の話を聞いた事がなかったから、いないと思い込んでいたんだ。



でもよく考えてみれば、生徒の私にそんな話しないよね。




自分と翠の間にある絶対的な壁の存在を私は忘れていたんだ。





「つら…」




恋している女の子を見たことはあったけど、みんなこんなに辛い思いをしているの?



円香はいつもあんなに楽しそうで、幸せそうで、キラキラしてるのに…




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