ワンルーム・ビターキス
「ひっ…!!」




バッと立ち上がるとよく見たら毛布が膨らんでいた。


誰かいる…?




「…って!翠!?何してんの!?」




不審者か何かかと思ったら、そこにいたのは私が探していた家主様。



そうかそうか、家にいるはずでリビングと部屋にはいなかったら残るはこの部屋。


物置には何も無いから翠が行くとは思えないし。





「…ん?」





なんで納得してるの私。



ここは私の部屋で。

あれは私のベッドで。





「翠!ねぇ、翠ってば起きて!」




ゆさゆさと体を揺すると、今朝同様ギュッと顔をしかめるだけ。




「あつ…」




翠を揺すっていた手に熱が伝わってきた。



熱があったのは本当だったんだ。





「いつからここにいたんだろう…」




自分の部屋はすぐ隣なのに、寝ぼけちゃったのかな。


それとも辛すぎてリビングから少し近いこっちに…




「とにかくあたためないと。」




私は翠に毛布をかけ直して暖房のスイッチを押した。


帰りにコンビニで冷えピタも買ってきてあげたし、これを貼って。


朝から何も食べてないだろうからさっき買ってきた食材でお粥でも作ろうかな。





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