ワンルーム・ビターキス
しょうがないじゃん。

あの女の人から電話で呼ばれたんだもん。





「…昨日の夜、何してたの」




気づいたら口から出ていた嫉妬。


彼女でもないくせに。




「あ?用事終わったあとダルすぎて地下の駐車場の車の中でバテてた」



「なんで私に電話しないの!?その時既に具合悪かったんじゃん!」



「どうせお前もう寝てたろ。わざわざ起こす訳にもいかないしお前一人じゃ俺支えてこの部屋まで来るのは無理だ」




この人、とことん私の事子供扱いしてる。


そりゃ子供だけどさ…




「気使うなとか私に言ってたくせに、翠だって私に気使ってんじゃん…」




ポツリと呟いても翠からの返事はなかった。


…何言ってんだろう私。

思ったことそのまま言っちゃうなんて私らしくない。




「…俺とお前は別」


「っ…」




線を引いて突き放された気分だった。



何?私がわざわざ心配して助けなくてもあの人がいるからいいですよって?


あの人から電話があったってことは今日この家に来てたんでしょう?



…私には体調が悪いってことすら教えてくれなかったのに。





< 120 / 153 >

この作品をシェア

pagetop