ワンルーム・ビターキス
昼休みの後、逃げ切ったと思っていた私に1件のLINEが届いた。




〈楠木翠:放課後俺のとこ来い。絶対〉




脅しと言っても過言ではないLINEに背筋が凍り、迂闊にLINEを交換した昨日の自分をちょっと恨んだ。




まぁ、行かない理由もないし。


なんて思って一応行ってやったと言うのに…




『え?楠木先生なら今いないぞ〜よく駐車場横の喫煙所にいるから、急用ならそっち行ってこい』




職員室にいなくて、他の先生に言われた通り旧校舎裏の駐車場まで探しに来る羽目になったわけだ。




「肺が老けるから煙吸うなよ」


「…なんですかそれ」




タバコの匂いがあまり好きじゃない私は素直にカーディガンの袖で口と鼻をおおった。




「あぁ、お前はもう老けてるか。20歳のヒワちゃん」




あぁ、この人の頭上だけ突然雨降り始めないかな。




ニヤリと笑う楠木さんに私はイラッとして睨んでやった。


もちろん気にも留めてなさそうだけど。




「なんで俺にも嘘ついたんだ。大1って言ったろ」


「…言ってないですよ。否定もしてないけど。」




歳を聞かれて18歳と答えた私を勝手に大学1年生だと解釈したのは楠木さんだ。


私は嘘を言ってはいない。


だって4月で誕生日を迎えた私は正真正銘18歳の高校3年生なんだから。




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