ワンルーム・ビターキス
「ああ言えばこう言うクソガキかよ…」


「事実しか言ってないですよ。」




ニコッと微笑み変えてあげると、楠木さんはチッと舌打ちをした。


なんてガラの悪い教師ですこと。




「用はそれだけですか?」




帰宅部の私は放課後学校に残る理由はない。


早く帰って掃除と夕飯の支度をしたいと言うのに。




「おい」




立ち去ろうとした私を引き止めるその不機嫌な声。




「なんですか」


「一人暮らしって、どういうことだ」




ギクッ




まさか、昨日私がポロッと言ったことを覚えていたなんて。


私が昨日送ってもらったのは一人暮らし用の賃貸アパート。


そして、自分の口からも一人暮らしと言ってしまっている。


誤魔化しは…残念ながら効きそうにない。





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