ワンルーム・ビターキス
拾ってやろうか
【緋和side】
バサッ…
「──え…?」
指を滑り落ちたエコバッグからは買ったばかりの食材がはみ出して地面に散らばった。
でも、私はそれどころじゃなくって。
「相楽さん!!無事だったの!?」
ザワザワと私の家の周りを取り囲む人だかりから飛び出してきた1人のおばあちゃん。
「大家、さん…」
「1階の102号室から出火したの。相楽さんだけ連絡がつかなかったから心配で…」
今朝まで私の家があったその場所はただ赤く光っていた。
鳴り響く消防車のサイレン、燃え上がる炎。
夢だよね?
ここ、私の家だよね?
古いけど大家さんが綺麗に保っていてくれたあのアパートはもうそこにはなかった。
信じたくないのに、強い煙の匂いが花を刺激する。
まるで、現実を突きつけてきているかのように。
「相楽さん、落ち着いた…?」
「…はい」
頭が真っ白になって何も言葉を発せなかった私を消防のテントに連れてきてくれた大家さん。
何時間経ったのか、事情聴取やらを終えて大家さんと2人ベンチに腰掛けた。
バサッ…
「──え…?」
指を滑り落ちたエコバッグからは買ったばかりの食材がはみ出して地面に散らばった。
でも、私はそれどころじゃなくって。
「相楽さん!!無事だったの!?」
ザワザワと私の家の周りを取り囲む人だかりから飛び出してきた1人のおばあちゃん。
「大家、さん…」
「1階の102号室から出火したの。相楽さんだけ連絡がつかなかったから心配で…」
今朝まで私の家があったその場所はただ赤く光っていた。
鳴り響く消防車のサイレン、燃え上がる炎。
夢だよね?
ここ、私の家だよね?
古いけど大家さんが綺麗に保っていてくれたあのアパートはもうそこにはなかった。
信じたくないのに、強い煙の匂いが花を刺激する。
まるで、現実を突きつけてきているかのように。
「相楽さん、落ち着いた…?」
「…はい」
頭が真っ白になって何も言葉を発せなかった私を消防のテントに連れてきてくれた大家さん。
何時間経ったのか、事情聴取やらを終えて大家さんと2人ベンチに腰掛けた。