ワンルーム・ビターキス
「やっぱり、親御さんに連絡した方が…」


「ダメです!」




大きな声を上げて立ち上がった私に、大家さんだけじゃなくて周囲全ての人の視線が突き刺さった。



やっちゃった…目立ちたくなかったのに。




「…大きな声出してごめんなさい。友達の家に行くことになったので私は大丈夫です。ご心配おかけしました」




私は一刻も早くここから逃げ出したくて、カバンを持ってテントを出た。


大家さんにはいつかきっと、ちゃんとお礼をしに行くから。


今だけは、許して欲しい。




「…っ」




ものが燃えるキツい臭いに鼻がもげそうだった。



あぁ、何でこうなっちゃったんだろう。


神様に嫌われてるのかな、なんて思うのはもう何回目か分からない。




「もう、やだ…」




ツー、と頬を一筋の涙が伝った。





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