ワンルーム・ビターキス
「ストーカーされてる、かもしれないの…」




そう伝えると、翠はわずかに目を見張った。




「…相手に心当たりは?」


「多分、だけど…バイトの先輩」




足音が聞こえ、バレないようにカーブミラー見た時電柱の後ろに見えた影。




隙間から覗いた明るい茶髪。


それは、たしかに…

林先輩の物だった。




ブーッ、ブーッ、ブーッ



「…っ」




テーブルの上で震える私のスマホ。



ディスプレイに表示された名前は…“ 林先輩 ” 。




「…こいつ?」


「…う、ん」




今まで何回も電話が来たことがある。


最初は先輩だから仕方なく出ていたけど、今は…




「出なくていい。コレ飲んでいったん落ち着け」




翠はあの人同じようにホットミルクティーを私にくれた。




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