ワンルーム・ビターキス
どうすればいいんだろう。
途中から走っては来たけど、きっと家がバレてしまっている。
ここは、翠の家なのに…
迷惑、かけたくないのに。
「緋和」
翠は何かを察したように私の顔を覗き込んで口を開いた。
「しばらくバイト行くな。というかそこのバイト先はできるなら辞めた方がいい。」
「…っ、だめ…バイトは辞められない…私は誰にも迷惑かけたくない…!自力で生きていかなきゃいけないの…!」
こんな時にそんな心配?と思うかもしれないけど、私にバイトを辞めれるほど余裕はない。
ただでさえ今親はもちろん、翠にまでお世話になってるのに。
これ以上人にばっかり甘えてられないんだ。
「そんなこと言ってる場合じゃないだろ。新しいバイト先なら俺が紹介してやる。ちょうど知り合いの喫茶店オーナーがバイト探してたんだ」
翠は私の髪をわしゃわしゃと撫でてキッチンに姿を消した。