ワンルーム・ビターキス


「──緋〜和〜ちゃんっ!」


「………っ、な、んで…」





どうして、あなたがここにいるの。



その姿を捉えた瞬間に頭が真っ白になり、足がカタカタと震え出した。




部活がある円香と校内で別れた私を門の前で出迎えたのは林先輩だった。



貼り付けたような笑顔のまま私に歩み寄る林先輩。


でも…その目は笑っていなかった。




「連絡つかないし電話もLINEも無視されてると思って、来ちゃった」




昨日、帰ってから林先輩の連絡は全部無視していた。


電話も、LINEも。



というか、林先輩が怖すぎてスマホ自体全く見れなかった。




怖くて不安で、仕方なかったけど。

寝る前ギリギリまで、翠はリビングで一緒にいてくれたから。



夜中に目が覚めてリビングにお水を飲みに行った時も、微かな音を聞いて起きてきてくれた。



“ 大丈夫か?寝れないのか? ” って。



朝も途中まで一緒に車に乗せてもらって、人通りのないところで降ろしてもらって。


帰りも一緒にって言ってくれたけど、翠は帰りが遅いから。

先に帰ってご飯の用意してるって言って…


明るいうちは大丈夫だよって、言ったのに…




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