ワンルーム・ビターキス
「緋和!!!」
抵抗してるうちに地面に落としてしまったカバンを持ち上げた時だった。
走ってくる足音に振り向くと、そこにはテニスの練習着を着た円香。
さっきバイバイしたのに、なんで…
「大丈夫なの!?緋和!あいつが来たんだよね?なにもされてないよね!?」
「心配かけてごめんね、大丈夫だよ」
どうやら先生を呼びに行った1年生は円香の後輩だったらしく。
私と円香が仲良いことを知っていて円香にも騒動のことを言いに行ってくれてたみたい。
多方面に迷惑かけて申し訳ないな…
「一緒に帰ろう、緋和。家まで送るから」
「え、部活は?」
「休んだ。当たり前じゃん!親友がストーカーに襲われかけたって聞いて呑気に部活なんかやってられない」
「…うん、ありがとう」
何気なく円香が発した親友という言葉が嬉しかった。
けど、それと同時に心配をかけてしまった罪悪感も募った。